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運命?の話@幸村

運命というか、運命共同体っぽい話。







 ――― あ、まただ。

 そう思った時には既に、わたしは“わたし”ではなくなっている。

 白く清潔感があるけど、同時に酷く寂しい気持ちにさせられる部屋。
 寂寞とした色合いから少しずつ移り変わり、今や目にも賑やかに色付き始めた、窓枠に切り取られた景色。
 そして何より、深く暗い悲しみ。絶望。虚無感。

 わたしのものであって、けれど“わたし”のものではない。
 この五感を、こころを、わたしは知っている。


「○○? どうかしたの?」

 あまりにも強い感情の波に飲み込まれそうだった意識が、気遣わしげな表情でわたしを覗き込む親友の声によって、現実へと引き戻された。
 一瞬状況が飲み込めなかったけど、周りを見回して「ああ」と思い出す。
 ここは学校の教室で、今が休み時間だということ。だけど何か違和感を覚えるのは、つい昨日始業式があったばかりで、新しいこのクラスにも教室にも、まだ馴染みがないからだ。

「……ううん、何でもない。天気がいいからポカポカして気持ちよくて、ぼうっとしちゃっただけだから、心配は」
「嘘ね」
「――― えっ?」
「だったらアンタ、何で泣いてんのよ」

 その指摘で初めて、わたしは自分の頬が濡れていることに気が付いた。
 しかも自覚するなり、涙は次々に溢れ出して、止まらなくなる。

 だけど“これ”はわたしの涙じゃない。わたしの感情でもない。
 物心がついた頃には既に日常であり当然であり、わたしを構成する一部となっていた、白昼夢と呼ぶにはあまりに鮮明で現実的な、わたしではない“誰か”の涙だ。感情だ。
 ある時はその“誰か”の感情に呼応し、またある時にはその“誰か”が表にできない感情を代わりに表にする。これはその一端だ。

 ――― わたしではない“誰か”の代わりに泣くわたしに、その“誰か”が痛々しく笑った気がした。


********************


つらつら説明するより手っ取り早いと思い、話の中に言いたいことのややこしい部分を詰めてみた。

で、改めて説明する。


主人公と幸村がお互いの感情や体験を白昼夢のような形で共有し合う、赤色かどうかはわからないけど、ともかく不思議な糸(縁)で繋がっている話です。
ただし共有できるのはより強い感情と経験だけ。
しかも赤ん坊の頃からだから、理性の利かない当時はお互い両親には癇癪持ちだと思われてた。(どうでもいい裏設定)

話の時期的には、三年に進級した頃から関東大会の頃までが主かな。
幸村が主治医の話を漏れ聞いてしまったのが春頃だったという、捏造に基づくものです。

一方、主人公は走ることが大好きな陸上娘。学校は立海以外なら無名校でもどこでもいい。
陸上部のエースで、その世界ではそれなりに有名な選手。だけど一年生の終わり頃、練習中に突然倒れて病院に搬送。検査の結果心臓に疾患が見つかり、もう二度と走ることができないことに。

幸村の気持ちを誰よりも理解でき、嫉妬も応援もできる立場を考えた結果の設定です。
また強い感情を共有する二人ですから、幸村は主人公が味わった絶望を誰よりも身近で親身に感じ、似たような境遇に立った今、主人公が幸村を理解しているのと同じように誰よりも主人公を理解しています。

設定やらはシリアスまっしぐらだけど、言葉なくして共感できるとか、こういうのってオイシくないですか?
恋愛でも友情でもいけるけど、個人的には二人がくっついてハッピーエンドになればいいと思う。

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